- 生活習慣病を知る
- メタボは生活習慣病の予備軍
- 日頃の生活を見直す
いつまでも健康な身体でいたいと思っていても、生活習慣は不健康な方って結構多いですね。
最近は家での仕事が増えたから歩く量もかなり減ってしまったにゃ~
そうですね。運動不足や食べ過ぎ-、飲酒やストレスなど生活習慣の乱れは生活習慣病のリスクが上がるので、普段から気を付けておきたいですね。
寿命100年時代と言われている近年。長生きは出来たとしても、ずっとベッドの上…では悲しいですよね。日本人の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳(※2016年)ですが、介護などを必要とせず自立して生活が出来る健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳と女性は約12年も介護などが必要な期間となっています。その為、現代に生きる私たちは健康寿命を延ばしていく事が大切です。
なので今回は、健康寿命を延ばすためのカギとなる、生活習慣病の予備軍「メタボリックシンドローム」についてお伝えしていきます。
生活習慣病は気付かないうちに症状が進んでしまいます。普通に生活をしていると、生活習慣病に陥りやすいので、普段から健康を意識した生活を心がける事が大切ですよ。
もくじ
生活習慣病とは?
生活習慣病とは、高血圧症や糖尿病、脂質異常症、肥満といった現代病に多く見られる病気の総称です。以前は「成人病」と呼ばれていましたが、病気の発症や進行には食生活や運動習慣、飲酒、喫煙、精神活動といった生活習慣が深くかかわっている事から、1996年に「生活習慣病」に改称されました。
生活習慣病は、知らないうちに症状が進行してしまう為、不健康な生活習慣を続けた結果、病気の重症化や合併症が起こり、命の危険にさらされることも少なくありません。日本の死因の上位を占める、がん(悪性新生物)や心疾患、脳卒中なども生活習慣が大きく関係しています。
メタボは生活習慣病予備軍
メタボ=メタボリックシンドロームとは、日本語で「内臓脂肪症候群」と呼ばれています。内臓脂肪が増えていて、なおかつ血圧や血糖値、血中脂質などが異常になりつつある状態です。メタボリックシンドロームがあると、生活習慣病の発症や進行を早める事から、「メタボ=生活習慣病の予備軍」と考えられています。
メタボリックシンドロームの診断基準は、リラックスして直立した時の状態で腹囲(へその高さ)が男性85㎝以上、女性90㎝以上であることに加え、血圧(収縮期血圧値130㎜Hg以上/拡張期血圧値85㎜Hg以上)、血糖(ヘモグロビンAlc値6.1%以上)、血中脂質(中性脂肪値150㎎/dl以上、HDLコレステロール値40㎎/dl未満)のうち2項目当てはまるとメタボリックシンドローム、1項目当てはまると予備軍となります。
生活習慣病の種類
生活習慣が発症に関わる生活習慣病には、多くの種類があります。代表的な高血圧症や糖尿病、脂質異常症の他、肥満や動脈硬化症、心疾患、脳血管疾患、痛風なども生活習慣病の一種です。これらの生活習慣病は互いに関連しているため、どれか一つの病気にかかっている人は、他の病気にもなりやすい事が分かっています。
生活習慣病にかかっている人は近年急増していて、その原因には日本人の生活習慣の変化が関係しています。高脂肪・高エネルギーの欧米化している食事の増加、技術の発達による身体を動かす機会の減少、外食や加工食品による塩分や脂肪の摂り過ぎなどです。その為、現代社会では誰もが普通に生活しているだけで生活習慣病に陥りやすいので、普段から意識しておくことが大切です。
肥満
身体に余分な脂肪がついた状態で、食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足などにより起こります。生活習慣病とかかわりが深いのは内臓脂肪型肥満で、診断基準はBMI25以上です。BMIはBody Mass Indexの略で、肥満度を表す指標です。日本肥満学会ではBMIが18.5~25未満が「標準」、25~35未満が「肥満」、35以上を「高度肥満」としています。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
※体重60kg、身長160㎝の人の場合60÷1.6÷1.6=23.43…で標準になる。
肥満は体内の脂肪組織に脂肪が蓄積された状態で、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満があります。メタボは内蔵型肥満に加え、高血圧、高血糖、脂質異常症のどれか2つが合併し、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患を発症する状態の事を指します。
高血圧症
血圧が高い状態が続く病気で、加齢のほか、塩分の摂り過ぎ、運動不足、肥満などが発症の原因になります。診断基準は収縮期血圧値140㎜Hg以上、拡張期血圧値90㎜Hg以上となります。
糖尿病
血糖値が高い状態が続く病気です。脂肪や糖分の摂り過ぎ、運動不足などが原因となって引き起こされます。診断基準は空腹時血糖値126㎎/dl以上、随時血糖値200㎎/dl以上、またはブドウ糖負荷試験2時間値200㎎/dl以上でHbA1が6.5%以上の場合となります。
脂質異常症
血液中の脂質のバランスが悪くなる病気です。偏った食事や飲酒、運動不足などが原因となります。診断基準はLDLコレステロール値140㎎/dl以上、HDLコレステロール値40㎎/dl未満、中性脂肪値150㎎/dl以上となります。
動脈硬化症
肥満、高血圧症、糖尿病、脂質異常症の4つが進行すると引き起こされるのが動脈硬化症です。血管が硬くなったり、血管壁にコレステロールが入り込んだりして内腔が狭くなった状態です。喫煙習慣や高血圧、高血糖がある事で動脈硬化が早く進行します。
脳血管疾患
動脈硬化と高血圧などが重なり、脳の血管が破れると「脳出血」や「くも膜下出血」、脳の血管が詰まる事で「脳梗塞」が起こります。これらの脳血管疾患は命を取り留めても、後遺症が残る例が少なくありません。
心疾患
動脈硬化によって心臓の冠動脈が狭くなると「狭心症」、心臓の動脈が詰まると「心筋梗塞」になります。また、高血圧などにより心臓機能が低下すると「心肥大」や危険な「不整脈」につながることもあります。
大動脈瘤
高血圧や動脈硬化が原因で引き起こされます。動脈がコブのように拡張された状態で、腹部や胸部などで起こります。破壊すると、出血して死に至る危険性があります。
その他生活習慣病
脂肪肝
肝臓に余分な脂肪が蓄積された状態で、肥満や糖尿病、脂質異常症のある人がなりやすい病気です。脂肪肝は幹細胞中に脂肪が3割以上含まれる状態で、治療をせず放っておくと、肝硬変や肝臓がんに移行することがあります。
高尿酸血症
尿酸が身体の中に溜まった状態が続くことで、肝臓や腎臓で結晶ができ、足の関節などが激しく痛む痛風を起こします。血液中の尿酸値7.0㎎/dl以上で、遺伝やアルコールの摂取、脂肪の摂り過ぎで引き起こされます。
最近は遺伝よりも生活習慣ががん発症の要因になっている例が多い事から、「がんも生活習慣病の一種」と考えられるようになっています。特に喫煙習慣は肺がんに限らず、多くのがんの発症に関わります。また、過度の飲酒によって、食道がんや大腸がん、肝臓がんの増加が、塩分の摂り過ぎで胃がんが増える事が各国の研究で確認されています。