1年を通して出回っている野菜の一つ「大根」ですが、夏大根は辛みが強く、冬大根は甘みと水分が強い特徴があります。大根は色々な調理法で使え、食卓の中心にもアクセントにもなる優秀な野菜ですよ。
煮物や汁物、鍋物にサラダなど、食卓で幅広く活躍する大根は、栄養面でも優秀な野菜です。「すずしろ」とも呼ばれる春の七草のひとつで、大根と聞くと和食のイメージが強いですが、イタリア料理やフランス料理でもよく使われています。
主な産地は千葉県と北海道、青森県などですが、全国各地で生産されているので、直売所などで地産の美味しいものを入手しやすい野菜です。
もくじ
大根の種類
現在主流となっているのは「青首大根」で、辛みが弱めで甘く、引き抜きやすく収穫が楽になるために広く普及したと考えられています。ですが、全国各地で生産されているため、地域ごとの特産品も数多く流通しています。
三浦大根
神奈川県にある三浦半島の特産品で、昭和50年代まで主力商品として全国に流通してきました。根の中心が膨らむ形なうえ大型の為、地面から引き抜きにくく、高齢化の進む農家に敬遠され、青首大根がシェアを広げました。
11~12月に旬を迎え、甘味・辛味共に濃厚で肉質も緻密なため、煮崩れしにくくおでんやぶり大根などだしをよく吸う料理にピッタリな大根です。
桜島大根
鹿児島県の桜島周辺、火山灰質の土で栽培される大根です。非常に大きく20kg近くまで生育するものもありますが、肉質は緻密で煮崩れしにくいだけでなく、味もしっかり染み込みます。煮物なら面取りせずに煮込んでもほぼ崩れることなく調理する事ができます。
一般的な大根よりも収穫時期が遅く、1~2月に旬を迎えますが、辛味が少なく甘みがあり、やわらかい肉質の為、煮物だけでなくサラダや大根おろしなどの生食でも美味しく食べる事ができます。
青皮紅芯大根
皮は丸みを帯びた小ぶりの青首大根の様な色合いですが、中が赤紫色をしている大根です。スライスしたものを酢につけておくと鮮やかな赤色に変わります。
11~2月にかけて旬を迎え、辛みが少なくほんのりとした甘味と苦味を感じます。水分が少なく、コリコリした食感の為、浅漬けや酢漬けなどの生食向きです。
聖護院大根
京野菜の一つで、1~2kg程度の丸型の大根です。果肉は柔らかいものの、煮崩れしにくい品種で大根臭さもほとんどありません。ふろふき大根や田楽などの煮物やスープに使っても美味しく食べる事ができます。
11~2月にかけて旬を迎え、甘味が強くやわらかい肉質です。辛味はあまり感じませんが、たっぷりと水分を含んでいるので、大根おろしにするにはベトベトになってしまうので不向きです。
ラディッシュ
短期間で生育・収穫できるので「二十日大根」とも呼ばれる小型の野菜です。生食が中心で、サラダに加えたり、和え物にするのがおすすめです。葉の部分は抗酸化作用のあるβ-カロテンが豊富で、やわらかく生で食べられるので一緒に摂りましょう。
冬の寒い時期を除き、初夏から晩春まで栽培・収穫することが出来、株が小さく土の深さも必要ないので、家庭菜園でも簡単に栽培する事ができます。
黒長大根
ヨーロッパ原産の品種で、フランス料理などでよく用いられています。表面は黒いですが、果肉は白く、サラダなどに少量加える事で辛味と色合いが良いアクセントになります。
水分が少なく辛みが強い大根ですが、加熱することで辛味はあまり感じなくなるので天ぷらや煮物などの調理にも使う事ができます。おろしたものは辛味大根よりはマイルドですが、刺激的な味わいです。
栄養と効能
- エネルギー:18kcal
- 水分:94.6g
- たんぱく質:0.5g
- 炭水化物:4.1g
<無機質>
- ナトリウム:19mg
- カリウム:230㎎
- カルシウム:24mg
- マグネシウム:10㎎
- リン:18㎎
<ビタミン>
- B1:0.02㎎
- B6:0.04㎎
- 葉酸:34μg
- パントテン酸:0.12㎎
- C:12mg
食物繊維総量:1.4g
大根の根に含まれたアミラーゼなどの消化酵素は、胃腸の働きを整える成分です。この酵素は熱に弱いため、おろしなど生食で摂る調理法がおすすめです。根には他にも抗がん作用を助けるグルコシノレートが含まれています。
葉の部分は緑黄色野菜で、ビタミンCや抗酸化作用のあるビタミンE、骨を強くするカルシウムなど栄養豊富に含まれているので、捨てずに食べるようにしましょう。
選び方・保存方法
大根を選ぶ際は、ひげ根のあとが小さく、ずっしり重量感があり、まっすぐで丸みのあるものを選ぶようにしましょう。葉がすでに切り落とされているものは、切り口がみずみずしいものを選ぶことも重要です。
葉が根の栄養を吸い上げたり、葉から水分が失われる事を防ぐため、葉が付いている時は根元から切り落として別々に保存します。根はラップやぬれた新聞紙などで包み、乾燥させないようにしてください。使いかけの根は、大根おろしや、1㎝ほどの厚みに切り固ゆでしたものを冷凍保存する事も出来ます。
食べ方のポイント
大根は部位ごとに風味が少し変わり、根元の部分はみずみずしくあっさりとした食感なのでおろしやサラダ、刺身のツマなどの生食に、真ん中部分は甘みが強く濃い味わいなので、ふろふき大根やおでんの具材におすすめです。
根の先端あたりは辛みが増すので、薬味などに利用するとピリッとした風味が楽しめますが、おろして時間が経つと独特のにおいが強くなるので注意が必要です。
下ゆでをする場合は米のとぎ汁を利用してゆでるとアクと苦味が抜けやすくなります。長時間煮る場合は面取りをしておくことで、煮崩れしにくくなるのでひと手間加えてみてください。
まとめ
いかがでしたか?大根は味にクセの無い野菜なので、煮物や蒸し物、炒め物など、生食以外にも様々な調理法で食べる事ができます。味のしみた美味しさを楽しむなら、軽く干したり冷凍したものを使う事で、短時間で美味しく仕上げる事ができます。
また、葉の部分も栄養が高い部分なので、炒め物やみそ汁の具などで食べるようにしましょう。細かく刻む事でシャキシャキした食感が生き、美味しく食べる事ができますよ。
大根と豆腐を組み合わせる事で、大根のビタミンCと豆腐のたんぱく質が肌の健康を保ち肌荒れ解消の効果が期待できます。みそ汁や鍋物などの定番の料理で組み合わせてくださいね。
学名:Raphanus sativus
分類:アブラナ科ダイコン属
原産地:地中海地方、中央アジア
旬の季節:11~3月/7~8月