ごぼうには食物繊維が豊富に含まれている野菜ですが、ごぼうを食べるのは世界でも日本や台湾だけで、中国ではもともと利尿作用などのある薬草として扱われていたんですよ。
根を食用とする野菜で、天ぷらのかき揚げにいれたり、きんぴらにしたりと日本ではよく使われる食材ですが、食用での栽培は世界的に珍しい野菜です。
主な産地は青森県や茨城県、北海道などで、通常のごぼうは晩秋から冬にかけて物もが美味ですが、初夏にもやわらかく香りのよい新ごぼうが旬を迎えます。風味や食感が異なるので違った味わいを楽しむ事ができます。
もくじ
ごぼうの種類
堀川ごぼう
京の伝統野菜の一つで、希少価値の高い食材です。通常のごぼうのように調理しても美味ですが、料亭などのお店で使われる際には、このごぼうをくり抜いて中に詰め物をした料理に仕上げられる事もあります。
11~1月にかけて旬を迎え、繊維がやわらかく味が染み込みやすいです。一般的なごぼうよりも香り高く豊かな風味で、ビタミンやミネラルなどの成分が多く含まれる傾向にあります。
宇陀金ごぼう
奈良県の伝統野菜「大和野菜」の一つで、細かくキラキラしと光る皮の為、縁起物として珍重されてきました。ゴボウ独特の風味が濃厚で、肉質がやわらかく優しい歯触りが楽しめる品種です。11~1月にかけて旬を迎えますが、栽培が非常に難しいので生産者が少なく貴重な食材です。
大浦ごぼう
千葉県にある大浦地区で江戸時代から栽培されてきたといわれる伝統野菜で、長さが60㎝から1m、直径が10㎝と大きく、内側が空洞になっているのが大きな特徴です。肉質はやわらかく、一般的なごぼうに比べると繊維質は少なめです。
調理法としては煮物が定番で、しっかり煮込む事でやわらかな食感で味がよく染みます。大きい空洞のものに肉詰めした料理が有名です。
栄養と効能
- エネルギー:65kcal
- 水分:81.7g
- たんぱく質:1.8g
- 炭水化物:15.4g
- 灰分:0.9g
<無機質>
- カリウム:320㎎
- カルシウム:46㎎
- マグネシウム:54㎎
- リン:62㎎
- 鉄:0.7㎎
- 亜鉛:0.8㎎
- 銅:0.21㎎
<ビタミン>
- B1:0.05㎎
- B6:0.10㎎
食物繊維総量:5.7g
中国では薬草として使用されていた歴史もあるごぼうは、水溶性の食物繊維イヌリンと、不溶性食物繊維イグニンが含まれています。イヌリンは利尿効果がある事が研究で分かってきており、イグニンには整腸作用がある為、体内をきれいにする効果が期待できます。
また、骨や歯をつくる働きをもつマグネシウムや、抗酸化作用のあるポリフェールの一種であるクロロゲン酸が含まれています。このクロロゲン酸は水にさらすことで流出してしまうので、水にさらさずに調理したり、あく抜きをしないことで成分をしっかり摂ることが出来ます。
選び方・保存方法
ごぼうを選ぶ際はひげ根が少なく、程よい固さのあるものを選びましょう。ほどよい弾力があるもので、新鮮さや風味を大切にするなら漂泊していない泥付きのものがおすすめです。
鮮度や香りが落ちやすい野菜で、土が付いたままのほうが日持ちします。保存する場合は洗わずに新聞紙などに包んで、冷蔵庫の野菜室か冷暗所にしまいましょう。しっかり洗ったものは、ささがきにして冷凍保存する事も可能です。
食べ方のポイント
最近のごぼうはアクが少ないので、切ったものを水に長時間さらしてあく抜きをしてしまうと、うまみや香りだけでなく栄養素も一緒に失ってしまいます。泥が付いたものはたわしでこすって水洗いする程度で問題なく食べる事ができます。
和食の定番であるきんぴらごぼうや、煮物・鍋などに加えたり、肉料理や魚料理の付け合わせや揚げても美味しく食べる事ができます。えぐみや見た目の色が気になるときは、栄養分は減ってしまいますが水にさらして少量の酢を加える事で白くきれいなごぼうに仕上げる事ができます。
まとめ
いかがでしたか?少し前にゴボウ茶が流行りましたが、あれは元々ヨーロッパでハーブティとして飲まれていたものです。ですが、ごぼうには水溶性成分だけでなく、不溶性食物繊維が豊富に含まれているので、食用として普段から食べている日本人の方がごぼうの栄養素をしっかり摂ることが出来ていると言えます。
不溶性食物繊維には便秘改善や整腸作用、発がん性物質の排除などにも効果が期待できるので、普段から食事にしっかり取り入れて、腸内環境を整えておきましょう。
ごぼうに含まれる食物繊維に加え、オクラのもつ「ムチン」を組み合わせると整腸作用がさらにアップします。和食などで一緒に摂り入れてくださいね。
学名:Arctium lappa
分類:キク科ゴボウ属
原産地:ユーラシア大陸北部
旬の季節:11~1月