
ねばねば野菜として知られているオクラの粘り気成分は食物繊維で、腸内環境を整える働きがあるので、便秘の改善や免疫力アップにも効果が期待できますよ。
輪切りにすると星の様な断面が現れるオクラは、強い粘り気が特徴の野菜です。加熱すると粘り気が無くなってしまう納豆や山芋と異なり、オクラの粘り気は食物繊維が元になっているので、加熱に強い点がポイントです。
オクラという響きは非常に日本的で、和風野菜のような雰囲気がありますが、原産地はアフリカで、英語でも「オクラ」と呼びます。国内の主な産地は鹿児島県や高知県で、特に鹿児島県の薩摩半島で多く栽培されています。
もくじ
オクラの種類

オクラは形や色、育てられている地域などによって様々な品種があります。粘り気が強いもの、柔らかいもの、甘みがあるものなどの特徴があるので、好みのものを探してみてください。
丸オクラ
丸オクラは10~15㎝位の大型で、通常のオクラの断面が星形に対し、この丸オクラは断面が円形が特徴です。果肉は通常のものに比べ柔らかく、大きいものでも硬くなりにくいのが特徴的です。
代表的なものに沖縄県の伝統野菜「島オクラ」や、東京都の八丈島で栽培されている「八丈オクラ」など、それぞれの土地に根付いた固定種があります。
赤オクラ
赤オクラは皮の色が濃い赤紫色のオクラです。大きさや風味、粘り気は一般的なオクラとそれほど変わりません。さやの部分は鮮やかな赤色ですが、内側は淡い黄緑色です。
赤色の色素であるアントシアニンは、加熱調理をする事で色が抜け緑色になるため、赤色のまま食卓に出したい場合は生食がおすすめです。
栄養と効能

- エネルギー:30kcal
- 水分:90.2g
<無機質>
- ナトリウム:4mg
- カリウム:260㎎
- カルシウム:92㎎
- マグネシウム:51㎎
- リン:58㎎
<ビタミン>
- A(β-カロテン当量):670μg
- K:71μg
- B1:0.09㎎
- B2:0.09㎎
- 葉酸:110μg
- C:11㎎
食物繊維総量:5.0g
ネバネバの元になっているのは食物繊維の一種であるペクチンと、糖タンパク質のムチンです。ペクチンには腸内の善玉菌を増やし、整腸効果や血中コレステロール値を下げる効果があります。
ムチンは体内で器官や消化器の粘膜をおおって保護をしています。胃炎や胃潰瘍の予防、たんぱく質の消化吸収を助けるなどの効果が期待できます。また、オクラには免疫力をアップさせるβ-カロテンや、体内の水分バランスの調整をおこなうカリウムなども含まれています。
選び方・保存方法
オクラを選ぶ時はしっかりした緑色で、表面の産毛が均一におおっているものが良品といわれています。育ってくると苦味や硬さが増すので、角がはっきり筋張っておらず、大きすぎないものを選びましょう。
低温障害を起こす野菜の為、涼しい環境なら室内においても大丈夫です。気温が高い場合は冷蔵庫の子の野菜室に入れましょう。乾燥に弱いため、新聞紙で包み、ビニール袋に入れておくこともポイントです。冷凍する場合はかためにサッと塩茹でして、水気をしっかり切ってからラップで包んで保存してください。
食べ方のポイント

舌触りの悪い産毛は、使う前に塩でこするように洗うと簡単に摂ることができます。輪切りでも縦に切っても美味しい食材ですが、みじん切りにすることで粘り気が更に強くなります。
生のままサラダに加えてもよいですが、一度下茹ですることで青臭さが抜けてよりおいしくなります。水が沸騰してからオクラを入れ、2分ほど茹でたら1度水にさらします。オクラがほんのり温かい程度で水からあげて水気を切りましょう。2分程度の茹で時間が最も粘り気が強く、歯触りよく仕上がります。
また、ムチンはたんぱく質の消化吸収を助ける作用があるので、肉や魚、大豆製品などと一緒に摂ることで効果が高まります。大豆製品である納豆に加える事で、効率よく疲労回復効果を高めるだけでなく、どちらも粘り気があり食感の相性も良い食材です。
ただし、調理の際に酢を加えてしまうと粘り気が弱まってしまうので、注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?オクラは生でも食べられるので、手軽に料理に加えられる野菜ではないでしょうか?オクラの粘り気にも栄養素が含まれていて、整腸効果や感染症予防など、さまざまな健康維持に役立ちます。
特に便秘の方や、胃腸などの消化器の働きが弱い方は、山芋や納豆などのねばねば食材と組み合わせて、普段から腸内環境を整える食事を取り入れてみてくださいね。

オクラは加熱に強い食材なので、サラダなどの生食だけでなく、炒め物や揚げ物にしても粘り気がしっかり舌に残り、美味しく食べる事ができます。かために塩茹でして冷凍保存しておくことで、料理に取り入れやすくなりますよ。

学名:Abelmoschus esculentus
分類:アオイ科トロロアオイ属
原産地:東北アフリカ
旬の季節:7~9月