
通年市場にあるトマトは栄養価の高さが魅力の定番野菜です。イタリアでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど、栄養価の高い食品と言われているんですよ。
通年市場にある野菜で、日光を浴びると糖度が高くなり、乾燥を好むという特性があります。夏のトマトは成長が早いため水分が多く、春や秋の日照時間の少ない時期のトマトはゆっくり成長する分、味が凝縮され美味しくなります。
トマトの濃く赤い部分にはリコピンが含まれていて、熟したものは更に含有量が増します。水分をできるだけ与えないように育てた「高濃度栽培」されたものもあり、フルーツトマトとして流通しています。食べ方は幅広く、生食はもちろん、リコピンは熱に強い成分なので、加熱調理しても栄養素が壊れにくい点も魅力です。
おもな産地は熊本県や北海道で、熊本県では「塩を含んだ土壌で育てる」という栽培方法で甘く育った「塩トマト」が名産になっています。
もくじ
トマトの種類
大型のトマトの品種改良が進むだけでなく、ミニトマトや中玉トマトもバリエーションも豊富になってきているので、食卓にも様々な形や色のトマトが登場してきています。

桃太郎
一般的に流通しているトマトの多くが、この「桃太郎」という品種の系列です。樹上で完熟させても皮が硬いため傷がつきにくく、当時の輸送手段でも簡単に運ぶことが出来たため、販売されると一気に全国に普及しました。発売後も改良が続いていて、味の異なる桃太郎系列のトマトが多数生産されています。
夏~秋にかけて旬を迎えますが、地域や栽培方法によって通年出荷されています。甘みと酸味のバランスが良く、硬めの皮も食感が良く美味しく食べられる現在のスタンダードなトマトです。
ファーストトマト
桃太郎が登場する以前に主流だったトマトで、お尻がとがった形が特徴です。保存性が低く、美味しく育てる事が難しい品種の為、安定した美味しさで傷みにくい桃太郎が普及すると、ファーストトマトの栽培農家は大幅に減少しました。
ですが、おいしさが再確認されると、再び市場に出回り始め、甘さと酸味のバランスが良いフルーツトマトとしても有名になりました。冬~春に旬を迎え、完熟のものは甘く酸味が穏やかです。果肉は硬く、トマト本来の風味が非常に強い事が魅力です。
桃太郎ゴールド
皮も果肉も黄色のトマトで、形そのものは桃太郎とほぼ同じです。トマトに含まれる一般的なリコピンよりも体内に吸収されやすいシス型リコピンを含んでいます。冬~春にかけて旬を迎え、果肉に厚みがあるので歯ごたえが楽しめます。あっさりとした味わいです。
ミニトマト
ミニトマトは、色や形がさまざまで、食卓を彩ってくれる食材です。品種ではなくトマトの規格で、一口サイズの小型トマトです。生食が主な食べ方ですが、そのまま食べるだけでなく手ごろなサイズにカットして付け合わせにしたり、スープの具材としても使う事ができます。
冬~春にかけて旬を迎え、小さく育ったものの方が糖度が高くなる傾向があります。その為、ミニトマトは甘味が強くなりやすく、赤色以外にも、黄やオレンジ色のものもあります。
アイコ
アイコは通常の2倍のリコピンを含むプラム型のミニトマトで、栽培環境によってはミディトマトほどの大きさまで成長します。6~11月にかけて旬を迎え、果肉が緻密でしっかりしていて、甘みが強いトマトです。果肉が厚いので生食はもちろん、加熱調理してソースなどをつくっても美味しく食べる事ができます。
栄養と効能

- エネルギー:19kcal
- 水分:94.0g
- 炭水化物:4.7g
<無機質>
- ナトリウム:3mg
- カリウム:210mg
- マグネシウム:9mg
- リン:26mg
<ビタミン>
- A(β-カロテン当量):540μg
- B1:0.05㎎
- B2:0.02㎎
- 葉酸:22μg
- C:15μg
食物繊維総量:1.0g
トマトの赤い色は機能成分であるリコピンです。リコピンには有害な活性酸素を抑える強い抗酸化作用があり、がんや動脈硬化など生活習慣病の予防効果が期待できます。ビタミンCや疲労回復に役立つクエン酸など、栄養成分が豊富に含まれている健康野菜です。
リコピンは脂溶性で、熱に強く油に溶けやすい性質があります。リコピンを効果的に摂るにはごまや落花生などに含まれているビタミンEを組み合わせます。また、ビタミンCの体内活性を高めるケルセチンを含むので、ビタミンCを含む他の食材と組み合わせることで美肌効果も期待できます。皮には薬効が多いので、むかずにそのまま食べるようにしましょう。
選び方・保存方法
トマトを選ぶ際には赤く艶やかな色の皮のものを選ぶようにしましょう。同じ大きさの場合、重いものの方が糖度が高く甘みが強いものになります。ヘタは緑色が濃く、ピンと張っているものを選びましょう。黒くなっているものは出荷後、人工的に完熟させ、鮮度が落ちています。
保存するときは、完熟の場合はラップに包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。冷凍保存をする場合は1個ごと袋に入れておくと、解凍のときに水洗いすることで簡単に皮がむけ、調理しやすくなります。
まとめ
いかがでしたか?トマトはリコピンによるがんや老化予防だけでなく、さまざまな栄養素を効率よく摂取できる優秀食材です。そのままでも手軽においしく食べれるので、普段の食事に積極的に取り入れてください。

トマトは脂溶性ビタミンなので、オリーブオイルと組み合わせるイタリア料理ではトマトの成分を摂取出来ています。サラダやカプレーゼなどの生で食べれるものや、パスタのソースなど、色々な料理でトマトを組み合わせてくださいね。

学名:Lycopersicon esculentum
分類:ナス科トマト属
原産地:中南米
旬の季節:6~9月