1年を通じて食べる事ができるキャベツですが、収穫する季節によって味わいが異なります。それぞれの特徴を生かした調理をして、より美味しさを楽しみましょう。
キャベツは季節ごとに違った風味を持つ野菜です。サラダなどの生食はもちろん、煮物や炒め物など、さまざまな料理に使う事ができます。
主な産地は群馬県や愛知県で、手ごろな価格で通年出回っている野菜です。露地栽培のものは季節によって産地が変わります。
もくじ
キャベツの種類
キャベツは品種の違いだけでなく、収穫する時期によっても特徴が異なります。春キャベツは秋に種をまいて春に収穫され、全体的にふわっとした巻のゆるい状態で、葉が内部まで薄い緑色をしています。柔らかく、みずみずしい食感の為、サラダなどの生食に向いています。
冬キャベツは夏に種をまき、冬に収穫します。少し潰れたような丸さの扁平型で、葉がぎっしりと何枚も重なっているので重量感があります。歯ごたえがあり煮崩れしにくく、煮込む事で甘みが出るのでロールキャベツなどに向いています。
紫キャベツ
レッドキャベツとも呼ばれる、表面の紫色が特徴的なキャベツです。紫色はポリフェノールの一種であるアントシアニンによるもので、抗酸化作用が期待できます。この成分は茹でると流出しやすいので生食がおすすめです。
一般的なキャベツよりも葉に厚みがあるので食べ応えがあり、青臭さはあまりありませんが、中にはほのかに苦味のあるものもあります。さまざまな産地で作られ通年流通していますが、流通量は少なく珍しい品種です。
サボイキャベツ
フランスのサボア地方発祥の品種で、葉がちりめん状にちぢれている事から、「ちりめんキャベツ」とも呼ばれます。葉が固く、長時間煮込んでも形が崩れないので、ロールキャベツなどの煮込み料理に向いています。
一般的なキャベツと比べ甘さは少なく、繊維質で水分が少ないので、生ではなく煮物やスープなどに使うようにしましょう。
芽キャベツ
葉の付け根にできるわき芽が結球したものです。別名「子持甘藍(こもちかんらん)」とも言い、直径3~4㎝ほどのミニキャベツです。普通のキャベツとは種類が異なるので、成長してもキャベツのように大きくはならず、1株で40~60個ほどの実を付けます。
一般的なキャベツの約4倍のビタミンCを含んでいますが、硬くて少し苦味があるので加熱調理が基本です。塩をひとつまみ入れた熱湯で2~3分下茹でしてから、シチューなどの煮込み料理や天ぷらなどの調理をする事で苦みが気にならなくなります。
栄養と効能
- エネルギー:23kcal
- 水分:92.7g
- 炭水化物:5.2g
<無機質>
- ナトリウム:5mg
- カリウム:200㎎
- カルシウム:43mg
- マグネシウム:14㎎
- リン:27㎎
<ビタミン>
- A(β-カロテン当量):50μg
- K:78μg
- ナイアシン:0.2㎎
- 葉酸:78μg
- C:41㎎
食物繊維総量:1.8g
胃酸の分泌の抑制や、粘膜の修復に効果的なビタミンU(キャベジン)が含まれていて、胃腸に優しく粘膜を強化するビタミンCや、整腸作用がある食物繊維が豊富に含まれています。
葉の緑の部分にはカロテンやアミノ酸、カルシウムが豊富で、芯の周りにはビタミンCが多く含まれています。調理の際に芯は捨ててしまいがちですが、薄切りし塩もみして浅漬けや、煮てスープの具材にするなど無駄なく食べる事で栄養素もしっかりと取ることが出来ます。
選び方・保存方法
春キャベツ以外は葉に艶があり、しっかりと詰まっている重量感のあるものを選びましょう。外葉に厚みがありピンと張っていて、芯の切り口が傷んでないかチェックしてください。
キャベツを保存する際は水分を逃さず涼しい事が重要です。丸ごと1個の場合でも、ラップや新聞紙に包んで密封したものを冷蔵庫の野菜室に入れましょう。カットしたものは劣化しやすいので、断面をしっかり包み、空気に触れないようにしてください。サッと塩茹ですれば冷凍保存も可能です。
キャベツの葉が部分的に紫色になっている事がありますが、これは霜などの寒さに耐えたことで色素の活動が強くなった生理現象の為、味には全く問題ありません。
食べ方のポイント
キャベツに含まれるビタミンCやビタミンUは水溶性の為、千切りにすることで断面が増え、栄養を失いやすいので早めに食べる事が大切です。切った時は水にサッとさらすと切り口から水を吸い、パリッとした食感が楽しめますが、長時間つけてしまうと栄養素が水に流れ出てしまうので注意が必要です。
また、スープ以外では茹でずに、生食や短時間でサッと炒めるような調理法にすることで、効率よく栄養素を摂取することが出来ます。加熱調理の場合は、大きめに切る事も栄養素を残すためのポイントです。
まとめ
いかがでしたか?キャベツは二日酔いを予防すると言われていますが、それはキャベジンの働きが関係しています。よく串揚げ屋さんでキャベツが出てくるのは、胃腸の働きを助けてくれることからも理にかなっているんですね。
キャベツに含まれているビタミンCやビタミンUは水溶性で熱にも弱いので、うまく調理法を工夫して、栄養素をしっかり摂取してください。
キャベツとニンジンを組み合わせることで、胃や腸の健康を保つビタミンUに、抗酸化作用のあるβ-カロテンが加わり、胃腸の働きを強化してくれますよ。
学名:Brassica oleracea
分類:アブラナ科アブラナ属
原産地:ヨーロッパ