
とうがらしはスパイシーな風味から、世界各国の料理で使用されている野菜です。乾燥させた鷹の爪などにはビタミンCが含まれないので、生のものも摂るようにしてみてください。
とうがらしは抗酸化作用をもつビタミンCや、免疫力を高めるβ-カロテンを豊富に含んでいます。独特の辛味成分はカプサイシンによるもので、アドレナリンの分泌を促進するため、発汗や強心効果が期待できます。
また、この刺激は胃腸にも作用し、消化液を分泌させるため、食欲を増進させます。ただし、辛さによる刺激は胃腸に負担がかかる為、摂り過ぎには注意が必要です。
もくじ
とうがらしの種類

とうがらしは熟したものを「赤とうがらし」、未熟なものを「青とうがらし」と呼び、多くは輸入品が流通していますが、国内では東京都や大分県などで栽培されています。激辛なハバネロなどの海外品種を生産する農家も各地にみられます。
ハバネロ
メキシコで主に生産されている品種で、辛すぎるので生食には不向きです。種が付いている胎座の部分には、とうがらしと同様、辛さが集中しています。主に輸入品の為、旬はありませんが、少量の国産品は8~10月に旬を迎えます。果肉は辛いですが、ハバネロ独特の風味が味わえ、チリソースによく合います。
ハラペーニョ
メキシコで生産される品種で、肉厚のためピクルスにも適しています。辛味の集中している種のついた胎座部分をくりぬき、チーズを詰めたハラペーニョ・ホッパーというフリットとしても食べられてます。
主に輸入品の為、通年入手できますが、少量ある国産品は8~10月にかけて旬を迎えます。緑色のタバスコの原料で、とてもスパイシーな味わいです。
トリニダード・スコーピョン
ハバネロの約5倍、世界屈指の辛さをもつとうがらしです。一口かじると、強烈な痛みと辛味が口の中を襲います。見た目はかわいらしいですが、水をいくら飲んでも効果がなく、しばらくは普通に話すことが出来なくなります。
ししとうがらし
ししとうがらしは、とうがらしの甘味種の一つで、でこぼこした形が獅子の顔を連想させることから名づけられました。基本的に辛さはありませんが、乾燥や強いストレスを受けると辛くなることがあります。
栄養素はとうがらしと同様で、抗酸化作用のあるビタミンCや免疫力を高めるβ-カロテンが豊富です。更に抗酸化作用をもつビタミンEも多く含まれているので、身体の健康維持に役立つ野菜の一つです。辛味成分であるカプサイシンは含まれているものの微量の為、辛さを感じず生食でも食べる事ができます。
栄養と効能

- エネルギー:96kcal
- 水分:75g
- 炭水化物:16.3g
<無機質>
- カリウム:760㎎
- マグネシウム:42㎎
- リン:71㎎
<ビタミン>
- A(β-カロテン当量):6600μg
- B1:0.14㎎
- B2:0.36㎎
- ナイアシン:3.7㎎
- B6:1.00㎎
- 葉酸:41μg
- C:120㎎
食物繊維総量:10.3g
とうがらしが持つ独特の辛みのもとカプサイシンには、胃液の分泌を促し、消化吸収を増進させる効果や、血行を良くして身体を温める効果が期待できます。
更に最近では肥満防止効果としても注目されていて、カプサイシンが脳の中枢神経を刺激してエネルギー代謝を促進するため、体脂肪が分解されると言われています。
一般的に使っている、乾燥させた鷹の爪や一味などにも栄養はたくさん含まれていますが、ビタミンCが含まれていないので、生のものも食事に摂り入れてみてください。
選び方・保存方法
切り口が新しく、全体がしっかりと色づいて艶のあるものが良品です。皮にハリがあり、かたく渇いてしまったものは鮮度が落ちているものなので選ばないようにしましょう。
丸ごと保存する場合は、水気をふき取りビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。低温障害を起こす野菜の一つなので、冷やし過ぎると色が悪くなります。乾燥させる場合は、しっかり水分を取らないとカビや変色の原因となります。

食べ方のポイント
とうがらしに含まれるカプサイシンは、油に溶けやすく熱に強い性質を持っているので、炒めて香りを出してから調理するのがポイントです。にんにくを一緒に組み合わせることで、高い強壮効果が期待できます。
冷たい料理より、熱い料理の方が辛さを感じやすくなります。炒め物や煮物、スープなどに加えるとアクセントになりますが、入れる量は調整して使用するようにしましょう。
とうがらしの辛さは、種が付いている胎座部分に集中しています。その為、種と共にその部分を取り除くと、辛さが大幅に和らぎます。取った部分は細かく刻んで調味料として使用することで無駄なく食べる事ができます。
まとめ
いかがでしたか?とうがらしは辛味が強いので、メインで使う食材ではありませんが、抗酸化作用をはじめ、血行促進や免疫力向上など、健康や美容の面でさまざまな効果を期待する事ができます。
刺激が強いので、摂り過ぎてしまうと胃腸に負担がかかってしまいますが、慢性的に冷えを感じていたり、元気がない時など、うまくアクセントとして料理に取り入れてみてください。

とうがらし×オリーブオイルのペペロンチーノなどでおなじみの組み合わせでは、カプサイシンが脂溶性成分の為、効率よく辛味成分を吸収する事ができますよ。瓶にオリーブオイルととうがらしを入れておけば、カルパッチョなどにそのままかけて食べる事も出来るのでおススメです。

学名:Capsicum annum
分類:ナス科トウガラシ属
原産地:熱帯アメリカ
旬の季節:7~9月(青とうがらし)/8~10月(赤とうがらし)