
栄養価が高いうえに、さまざまな調理法に適しているにんじんは、食卓の定番野菜の一つですね。1年中手に入るにんじんですが、秋の旬の時期の方が栄養素の含有量が多い傾向にあるんです。
ニンジンは一般的に流通している野菜の中で、β-カロテンの含有量がかなり高い野菜として有名です。
現在よく見かける芯までオレンジ色のにんじんは品種改良の積み重ねによるもので、60年代のものと比べると独特のにおいが減り、食べやすく、かなり甘くなりました。カロテンの量は倍増したものの、そのほかの栄養素は減少傾向にあります。

生薬として利用される高麗人参と成分や効能は全く異なりますが、現在のにんじんの名前の由来となっているんですよ。
もくじ
にんじんの種類

にんじんは品種改良がおこなわれている事からも、多くの品種が存在します。
金時にんじん
京にんじんとも呼ばれる品種で、正月料理に用いられる事もあります。皮の赤みはリコピンによるもので、摂取することで抗酸化作用が期待できます。
生食でも調理でも通常と同じような感覚で使う事ができますが、11~1月の旬の時期以外は出回ることが少ないです。一般的なにんじんよりも濃厚な味わいで、甘みがあり肉質が柔らかいので荷崩れしにくいのも特徴です。
葉ニンジン
葉を食用とするにんじんで、厳密には品種ではありません。根が成長するにつれて葉が固くなってくるため、根が小さく若いものを選んだ方が柔らかくて食べやすいです。にんじんの香りがあるので、風味のアクセントになります。
サラダにピッタリですが、生食だけでなく、細かく刻んで炒め物に使ったり、みそ汁や煮物の具材としても使う事ができます。
ミニにんじん
ベビーニンジンとも呼ばれ、10㎝くらいの大きさです。海外産も含め、色々な種が販売されています。ニンジン特有のにおいも少なく、比較的甘いものが多いので、生のままサラダにいれたり、マヨネーズやディップに付けて食べる事ができます。
加熱調理でも美味しく食べれるので、シチューや煮物、炒め物にも使う事ができます。刻んでしまうと普通のにんじんと変わらない為、ミニにんじんの小さく可愛い特徴を生かして丸ごと使うようにしましょう。
栄養と効能

- エネルギー:37kcal
- 水分:89.5g
- 炭水化物:9.1g
<無機質>
- ナトリウム:24㎎
- カリウム:280㎎
- カルシウム:28㎎
- 鉄:0.2㎎
- 亜鉛:0.2㎎
<ビタミン>
- A(β-カロテン当量):9,100μg
- B1:0.05㎎
- B2:0.04㎎
- B6:0.11㎎
- C:4mg
食物繊維総量:2.7g
流通量が多い野菜の中で、ダントツにカロテンの含有量が多いのがにんじんです。カロテンは免疫力を高めて、皮膚や粘液を強くする、ガンや心臓病、動脈硬化などを予防する効果が期待できると言われています。
皮近くの味が濃く、β-カロテンも皮に近い部分に多く含まれています。出荷前の洗浄作業で薄皮はすでにむけているため、出来るだけ向かずに調理するようにしてください。
選び方・保存方法
にんじんを選ぶ時は、オレンジ色が濃く、ハリがあってひび割れていないものを選び、緑ががかったものは避けるようにしましょう。葉付きのものは新鮮で、葉無しのものを選ぶときは断面の葉の軸が細いものがおすすめです。
湿気に弱いので、丸ごと保存するときは水気をふき取ってからビニール袋に入れるか、新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。乾燥している時節なら、風通しの良い場所で常温保存も可能です。
葉付きのものは、葉が栄養素を吸収してしまうので、切り落として別々に保存するようにしましょう。冷凍するときは使いやすいサイズに切ってかために茹で、水気をしっかりきってから冷凍庫で保存してください。
食べ方のポイント

にんじんはビタミンCを破壊する酵素を含んでいるので、ビタミンCを多く含む野菜や果物を食べ合わせるときは、にんじんに酢をかけて酵素の働きを止めるか、50度以上の熱を加えてから使うようにしましょう。
カロテンは脂溶性成分の為、生食の場合はサラダにオイル入りのドレッシングをかけたり、スティック状にしてマヨネーズをつける事で吸収率が高まります。また、細く切ったり、薄切りにして油で炒める、バターを使ってグラッセをつくるなど、油脂とうまく組み合わせる調理法がポイントです。
まとめ
いかがでしたか?にんじんは通年購入することができ、β-カロテンを豊富に含む野菜です。β-カロテンを積極的に摂取することで、活性酸素から身体を守り、老化や生活習慣病の予防効果が期待できます。
にんじんはさまざまな調理法に適していて、サラダや炒め物だけでなく、カレーやスープ、煮物やスイーツまで幅広く使う事ができるので、工夫して積極的に料理に取り入れてくださいね。

にんじんを千切りにしてごま油で炒め、醤油・砂糖・みりんで味付けしてつくるにんじんのきんぴらは、皮膚の粘膜を保護し、肌の若さを保つだけでなく、免疫アップの効果も期待できます。
作り置きしておくことも可能なので、副菜として食事に摂り入れてみてくださいね。

学名:Daucus carota
分類:セリ科ニンジン属
原産地:アフガニスタン
旬の季節:9~12月