- それぞれの栄養素の特徴と働きを知る
- 栄養素を多く含む食材と摂取基準量を理解する
- 摂り方のコツを学んで効率よく摂取する
炭水化物やたんぱく質という栄養素の名前は知っているけれど、身体でどのような働きをしているのか理解している方は少ないですね。
よくダイエットする時に主食である炭水化物を減らすイメージがあるにゃ~。
そうですね。炭水化物は太るから…と避けられがちですが、炭水化物は三大栄養素の一つで身体の大切なエネルギー源の為、摂取量が少なすぎるとエネルギー不足でフラつきや集中力の低下などにもつながる為、過度な制限は注意が必要です。
人間は自らエネルギーをつくり出すことが出来ない為、食べ物を摂り消化吸収する事で、生命を維持したり活動するエネルギーをつくり出し、健康な身体をつくる原料を得ています。
食べ物には私たちの身体に有益な栄養素が多数含まれていて、特に5大栄養素といわれている糖質・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルと食物繊維は大切な作用がある栄養素です。食品中の成分は消化吸収されることで初めて栄養素として機能し、それぞれに働きを持っていますが、栄養素は共同で働いているため、摂取する栄養バランスも重要です。
今回はそのような栄養素それぞれの特徴や働き、更に食品からの効率的な摂り方などをお伝えしていきます。
栄養素を効果的に食事から摂ることで、身体の不調の予防や解消につながります。一つの食品で必要な栄養素を全て満たすものはないので、色々な食品から必要な栄養素を摂るようにしましょう。
もくじ
3大栄養素
三大栄養素とは、たんぱく質・脂質・糖質の事で、生命維持をする為に必要不可欠なエネルギー源です。エネルギーは仕事や家事、運動など身体を動かす生活活動の時はもちろん、心臓などの臓器の機能維持や呼吸、血液循環、体温維持などの生理現象により、身体を動かさず安静にしている時でもエネルギーを消費しています。
エネルギーになる三大栄養素が不足してしまうと、まずは体脂肪を燃焼させてエネルギーを得ようとするのでやせますが、更に不足することで体内のたんぱく質を分解してエネルギーにする為、筋肉などが消耗されてしまいます。逆にエネルギー源は摂り過ぎると体脂肪として蓄積されるので肥満になります。
1日に必要なエネルギー量は生きていくうえで必要な最低限のエネルギーである基礎代謝量と、生活をしていく中で使うエネルギーの身体活動レベルから算出する事ができます。エネルギー必要量は、性別や年齢、日常の活動量や運動の有無などによって人それぞれ異なります。
たんぱく質
たんぱく質は、皮膚や筋肉や臓器など身体を構成する最も重要な成分で、免疫抗体、酵素、ホルモンなどもたんぱく質から作られます。また、エネルギー源となる糖質や脂質が不足すると、身体のたんぱく質がエネルギー源として利用されます。
たんぱく質はアミノ酸が多数結合したもので、その種類や数、並び方などによって性質や働きが異なります。摂取したたんぱく質は、アミノ酸まで分解され身体に必要なたんぱく質に再合成されます。体内では常に合成と分解が繰り返されていて、一部は排泄されるため、不足分は食事から摂ることが重要になります。
基準摂取量と摂り方のコツ
たんぱく質の1日の基準摂取量は30~49歳の場合、男性で60g、女性で50gになります。魚介類や肉類はたんぱく質が豊富ですが、同時に脂質も多いので、低脂肪の種類や部分を選ぶことで効率よく摂取することが出来ます。ビタミンB群(特にビタミンB6)はたんぱく質の代謝に関わる働きをしているため、組み合わせて摂取することで体内で利用されやすくなります。
たんぱく質は体全体の機能に関わっているため、摂取量が少なく不足してしまうと、体力や免疫力の低下し、子供の場合は成長障害を起こす事もあるので注意が必要です。摂り過ぎた場合は尿中に排泄されるため、腎臓に負担がかかり、カルシウムの排泄を促すため骨がもろくなる場合があります。
アミノ酸
自然界にはたくさんのアミノ酸が存在していますが、人体のたんぱく質を構成するアミノ酸は20種です。この20種のうち、体内では充分に合成されず、食事から摂取しなければいけないものを必須アミノ酸といいます。
必須アミノ酸は全部で9種類あり、成長促進や神経機能サポートなどをおこなうイソロイシンや、鎮痛。神経安定作用などをもつトリプトファンなど、それぞれ特徴的な機能があり、体内で大切な働きをしています。
脂質
私たちの身体にはさまざまな脂質が存在しています、その一つが中性脂肪で、主に体脂肪として蓄えられています。体脂肪は体温の保持や調節をおこなったり、クッション材として臓器などを守る役割があります。
また脂質の一種である、リン脂質や糖脂質などは細胞膜の構成、コレステロールは胆汁酸や性ホルモン、細胞膜の原料となります。
基準摂取量と摂り方のコツ
脂質の1日の基準摂取量は、摂取エネルギーに占める脂質の割合であらわされ、30~49歳の場合、男女ともに20%以上25%未満になります。脂質を摂り過ぎると肥満を招き、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化、がんなどの生活習慣病のリスクが高まります。
ですが、脂質が不足してしまうとエネルギー不足になるだけでなく、脂溶性ビタミンの吸収が低下したり、血管や細胞膜が弱くなってしまうので適量の摂取を心がける事が大切です。青背の魚などに豊富なDHAやEPAを摂ることで血中脂質のバランスを改善する働きがあるので、脂質を摂取するときにおすすめの食材です。
脂肪酸の種類
植物油は透明の液体、肉などの脂身は白い個体と、同じ中性脂肪でも状態が異なります。これは含まれている脂肪酸の違いで、脂肪酸とグリセロールが結合した高分子化合物が中性脂肪です。体内での働きも脂肪酸の種類によって異なり、乳製品や肉などの動物性脂肪に多い飽和脂肪酸と、不飽和脂肪酸の2つに大きく分けられます。
不飽和脂肪酸には、オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸と、オメガ3系脂肪酸・オメガ6系脂肪酸の多価不飽和脂肪酸に分かれます。この中でもオメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸と、オメガ6系脂肪酸のリノール酸・アラキドン酸の3つは体内で合成できない、または十分に合成されない脂肪酸の為、必須脂肪酸と呼ばれ食事から摂取する必要があります。
炭水化物
炭水化物には、消化吸収される糖質と、消化吸収されない食物繊維に分類されます。糖質はおもに主食になるご飯やパン、麺類などの穀類の他、イモ類や果物などにも多く含まれています。消化吸収に優れているため、たんぱく質や脂質よりエネルギー源として優先的に消費されます。
脳や神経組織、赤血球などは糖質の一種であるブドウ糖が唯一のエネルギー源で、糖質はこのような組織にブドウ糖を供給する大切な役割をもっています。
基準摂取量と摂り方のコツ
炭水化物の1日の摂取エネルギーに占める炭水化物の割合目標量は、30~49歳の場合、男女ともに50%以上70%未満です。糖質がエネルギーとして利用されるには、ビタミンB1の働きが必要で、精白度の低い穀類に含まれている為、主食を玄米や麦芽精米などにすることで、炭水化物とビタミンB1の両方を摂取できます。
炭水化物は不足することでエネルギー不足になるだけでなく、長期間不足することでケトン血症になり、嘔吐などの症状が現れる場合があります。また、摂り過ぎてしまうと、エネルギーの過剰摂取になり肥満の原因となります。